衝突・下

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「これを見て下さい…」 こう言って諸葛瞻は手に持っていた一枚の紙を姜維に手渡した。 「これは…」 姜維は受け取った紙を読みはじめた。 「…確かに、急いだ方がよさそうですね‐― 思遠殿、掴まっていて下さいよ」 こう言うと姜維は馬を勢いよく駆けさせたのだった。 その紙には、姜維が遼東へ行き一つにまとめあげることができたら、姜維に後の憂いを感じて暗殺しようとする者が現れるという孔明からの忠告だったのだ。 護留が部下を従え城外に出てきた頃には、姜維の姿は小さく追いつくのは難しかった。 「ちっ、なんて逃げ足の速い野郎だ…」 こんなことを言いつつも護留の顔は清々しく、こうなることを望んでいるかのように微笑んでいた。 ようやく遼東は一つになり燕として後の魏との決戦に向け進み始める。 姜維は、これから長い時間をかけて蜀へ駆け続ける。 果たして蜀、呉、燕の三国で魏を討ち倒すことはできるのだろうか…
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