純粋になりたい

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とまぁ ヨウは口は綺麗な方ではない だが、実は凄く真面目で人一倍思いやりを持っている子だと思っている ヨウは幼い頃に事情があって父親を亡くしている 母子家庭で1人娘として育ち、家庭を守る為に有名私立大学の理学部へと進学した 片道3時間はかかる大学だ そこへ毎日、1人暮らしも考えたが、母親を1人にはしておけないという理由で通っている ヨウの信条は「人生楽しんだもん勝ち」だ それはヨウの幼い経験から来ているものだった この時はそれくらいしか知らなかった それでも充分にヨウの人間性は傍にいて感じてとれた あとからもう少し深い理由を知ることになるが…それはまだ先の話 「楽しんだもん勝ち」という信条と言動から、ヨウ誤解されやすい性格でもあった それが原因でヨウを紹介してくれた友人とは疎遠になった 友人はヨウを「軽い」と軽蔑した だが今目の前で鞄を買って貰ってゲラゲラと笑っているヨウは、彼女にたかっているわけでもなく、利用してやろうという気持ちは全く持ってはいないし、浮気をするような性質でもなかった 実際にプレゼントされたバッグは学生という身分の割りには高価だが、ごく普通の社会人であれば大したことはない金額のものだった 社会人なら、ボーナスが出たから恋人にちょっとしたプレゼントなんてことは下心がなくとも普通にあることだ 「どういう人間かもあまりわからないで批判することは自分はあまりしたくない。それに、影でそういうことを言うのは好きじゃない」 そう友人に言うと、友人は「でも、ああいう言動は生理的に受け付けない」と否定し、それからヨウの話はあまりしなくなり、次第に会わなくなっていった
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