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先生が黒板に自分の名前を書いて自己紹介を始める。
紅桜鳳子…べにざくらほうこかな。
話半分に自己紹介を聞いていたので読み方がよく分からない。
なんだか忍者刀みたいな名字だなあ。
暇なので自己紹介というものについて考えてみる。
完全な自己紹介というのは自分を客観的に観察しなければ行う事が出来ない。
客観的要素の伴わない主観に埋もれた自己紹介など、既に自己紹介ではないからだ。
「自らを客観的に見つめる事など不可能である。」
という言葉がある。
人間は所詮、生まれたその時から死ぬまで主観の檻から抜け出す事は出来ない。
僕もそう思う。
不可能だからこそ、人は主観に細心の注意を払うのだ。
相手の気持ちを考えて行動する
という思考は、自己を客観的視点に立たせるものではない。
ただ主観の中で自らの客観的ビジョンを勝手に想像しているだけだからだ。
よって人間は自己を紹介するなど不可能だと僕は思う。
僕らにできるのは他人を他人に紹介する事だけだ。
この世に鏡が存在しなければ、正確な自分の姿など誰にも理解する事は出来ないのだ。
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