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「そういうのを本人の目の前で言うの、失礼って言うんだよ?」
「礼を失うと書いて失礼だ。僕はお前に礼儀なんて持ってないからね、問題ない。」
「人間のくず。」
「僕もそう思う。」
僕は立ち上がって、哀れにも蹴り飛ばされた椅子を元に戻しながらポケットから携帯を出す。
「もしもし、母さん?」
「あら、どうしたの。」
「刹那がうちに住むって言い出したんだが、これはどういうこと?」
「どう?ビックリした?」
「あぁ、ビックリしすぎて逆にビックリされたんで更にビックリした。」
「刹那ちゃんもお兄ちゃんっ子だから、いつかは向こうに住みたいって言い出すと思ってはいたんだけど、まさかお父さんに条件まで突きつけて実行するなんて思わなかったわよ。」
厳格で頑固なオールドタイプの純日本製親父である父さんだが、刹那には昔から甘いところがあった。
昔から神童、天才などと周囲から呼ばれ続けた刹那。
親からすれば鼻高々だろう、無理もない。
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