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「炊事や洗濯や掃除、なんでもできる万能にして美少女、かつ妹キャラまで完備しているこの刹那さんが大好きなお兄ちゃんの為に朝から夜まで上から下(しも)までご奉仕してあげるっていうのに、何が不満なのか理解できないね。」
「そんな事が理解できないから不満なんだろうが。」
「嘘だよ。お兄ちゃんは私の事が根本的に嫌いだもんね、ちゃんと分かってるって。」
「分かってるなら帰れ。」
分かっててやってるなら尚質が悪い。
「………嫌だね。」
冗談めいた口調が一転して真剣なものに変わる。
「一年間我慢して、ようやく一緒にいられるようになったんだもん。私がどんな思いでいたか、分かる?」
「知るか。僕からすれば16年間我慢して、ようやく一緒にいずにすむようになったんだ。僕の思いこそ察してほしいものだね。」
僕の言葉を聞いた刹那が目尻に涙を浮かべ始める。
「私が…私がなにをしたって言うの?」
「何もしてないさ。ただ僕の前に立ち続けただけだ。」
そうやって僕の人生を軽薄にさせてきた。
十数年も、僕は妹と比較され蔑まれてきた。
「だから僕はお前が嫌いだ。」
逆恨みでもある。
彼女は悪くない。
いや、悪いのは僕一人なんだ。
だから━━━━━
「これ以上、僕にお前を恨ませないでくれ。」
悪いのは僕なんだ。
妹に比べて無能だったのは僕だ。
だからこれ以上、妹を憎みながら生きていたくはないんだ。
彼女を前にすると僕は僕が嫌になる。
自己嫌悪を抱えて生きてくのは辛い。
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