事の顛末

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僕がもっとも危惧していたのは妹から電話、或いは僕の家に訪問してくるといった事態だったのだが、何故か一度もそのような事はなかった。 説明も説得もなく出て行った兄に愛想を尽かしたのか、はたまた一年も別居して劣等の兄の存在など忘れてしまったのかは定かではないが僕は内心安心していた。   そしてそれこそが僕の人生最大の間違いだったのだが。   そしてその間違いに気付いた頃にはもう取り返しのつかない状態だったのだ。   事の始まりは高校二年生の春の出来事である。
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