悪夢 しすたー

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我が校では三学期の最後にクラス分けの内容を通知しているので、今更クラス分けを見て一喜一憂する人はいないが、それでも全員揃っての初顔合わせという事で緊張している人は多い。 とは言っても、来臥や翔輝はまったく緊張しているような様子はない。 無論、僕もだ。 というのも、僕たち三人はたまたま去年に引き続き同じクラスなので、結局大した変化がないのだ。   心機一転なら一年前に済ませた。 今更なんの変化も、僕は望まない。   Nothing is good enough 何もないこそ素晴らしい   って奴だ。   新しい教室に着くなり、翔輝はいつの間にかどこかへと行ってしまった。 翔輝は?といったアイコンタクトを来臥に送ると、入学式にでも潜り込みに行ったんじゃない?と言いたげな諦観混じりの視線が返ってきた。 なんて便利なコミュニケーションツール。 通信精度に目を瞑れば近距離専用テレパシー程度には使えるかもしれない。
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