携帯

6/9
前へ
/136ページ
次へ
あたしは猪瀬が帰って来る直前まで、泣いていた。 泣きながら少し眠ってしまったらしい。 彼女の夢を見た時と同じように悲しい夢だった。 夢の中で猪瀬は…19サイの子と仲良く歩いてて幸せそうにしてた夢を見てた。 イノッチ…あたしここに居るんだよ? あたしの事、好きって言ってくれたのは ウソだったの…? あたしにとってそれは夢に見るまでショックなものだった。 「愛…菜……愛菜」 猪瀬はあたしの頭を撫でなでた。 あたしは起き 「触らないで…」 そう、呟いた。 「………ごめん…」 「残してたんだね……保護するくらい大切だったんだ」 「消すから、怒るなよ…」 消せば済むと思ってる訳? 「……消せば済む訳じゃない」 もう…信じない。 何も。 "好き"とか"愛してる" って言った アナタの言葉…もう信じない。
/136ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加