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「恋のはじめ方って忘れちゃいましたね。」
ちょうど二人の真ん中の私が呟くと、残りの二人が異口同音に叫んだ。
「おばさんかよ(笑)!!」
そんな二人に私は続ける。
「学生時代ってもっと違いませんでした?好きな人ができて、でもなかなか話せなくて。バレンタインなんかに勇気振り絞って告白して。初めてのデートなんて手もつなげなくて。なんか、その人のことだけで頭いっぱいって感じじゃありませんでした?」
二人の顔から笑顔が消える。
「今は、いいな~くらいですぐにごはんに誘って、何回か会ううちになんとなく付き合っていることになっちゃうじゃないですか。」
手元のビールを一口飲む。
「なんか恋のはじめ方、忘れちゃいました。私。」
「そう、かもね。」
二人もビールを飲みながら真面目な顔で頷いた。
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