されど彼は立ち止まらず

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 その片隅では被害者の関係者と思われる女の子が、泣きながら聴集を受けていた。  ――なんとも物騒な世の中になっちまった。  渋谷駅へ戻る際に見上げた空には、ハチ公からいつもの如くに煙が舞い上がっていた。 「じゃあ、確認するね。君は彼女――新井美保さんと今日会う約束をしていた。しかし、約束の時間になっても現れず、連絡をしても返事はなく、仕方なしに時間潰しにブラブラしていた。その時、騒ぎを駆け付けここに来た。その被害者が君の友人だった」 「……そうです」 「判った。じゃあ、君の名前は? 少しでも情報が欲しいんだ。協力してくれないかね?」 「美保を殺した犯人を掴まえられるなら協力します。私は白石奈美。今日は来てないけど、あと二人よく遊ぶ友達もいます」  何で美保がこんな目に……。何でよ……。みんで早く彼氏作って幸せになろうって約束したのに……。
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