苺オレと初雪と、愛するよりも愛されたい

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  「あー、お腹空いたー! 死にそうー!」  ……ならば、今現在、俺の数メートル手前をこんな物騒な言葉を叫びながら歩行している女は、一体どうなるのだろう。 「死ぬわきゃねーだろ」      タイチ 「あー! 太一、空腹を軽く見てるなー!? 言っとくけどあたしは今日、朝・昼と抜いてるんだからね!」  人差し指でばちあたりなくらいに俺を指差してくる フウコ 風子に、俺はうんざりと鞄を肩にかけ直した。 「お前だろ、空腹を甘く見てんのは」 「? なんで?」 「『腹減って死にそうー』とかって、ほんとに死にそうなくらいに飢えてるわけじゃないのに言うな、ってこと」 「まっ、心外だわぁー。フウちゃん傷ついちゃったぁー」  両手で両頬を包み、まるで痴漢を見るような目つきで睨んでくるので、俺は肩をすくめた。  辺りはもう真っ暗で、星の見えない空から雪がちらついてきていた。唯一の光と言えば、道に等間隔で並ぶ街頭くらいだ。 「なー、もういい加減に一緒に帰るのやめねー?」  ふいに俺は切り出した。いや、「ふいに」と言っても、俺はそれをだいぶ前から──、そりゃ結構前から思っていたのだ。しかし、「いつ言おうか、いつ言おうか」と機会をうかがっていたら、タイミングをつかめないままズルズルと来てしまった。  
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