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「だってお前の言い方じゃ、まるで俺と学校通えなくなるのが嫌みたいだぞ」
「嫌、ってわけじゃないのよ。ただ寂しいなぁ、って」
「寂しい?」
「そう」
風子がしんみりと手の中のカフェオレの缶に目を落とすので、俺はちょっと笑ってしまった。
「寂しい、つったって一生の別れなわけじゃねえだろ。一緒に登校しなくたって学校で会うし、話だってするだろうよ」
「ううん、太一は一緒に学校行かなくなったら、絶対口きいてくんなくなる。誓ってもいい」
「ずいぶん信用ないのな。俺がそんな奴だと思ってるわけ」
呆れかえって頭を掻くと、顔を上げた風子は、真剣な瞳で俺を見据えた。
「信用してないんじゃない。信用できないの」
ますます俺の顔は苦くなる。つまりは一緒じゃないか。
しかし、俺がなにかを言おうとする前に、素早く風子の言葉が滑り込んできた。
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