淡路島戦区

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淡路島戦区は激戦だった。 日本国と新日本連合(以下新日)との勢力地域の中間地点にあたるこの地区には両国の開戦直後に両軍が進軍し、淡路島の両端を占拠した。 日本軍(旧自衛隊)は淡路市を占拠、新日軍は南淡路市を占拠した。 直後、両軍の占拠地域の中間にあたる洲本市で両軍による戦闘が開始された。 日本軍の戦闘服は自衛隊迷彩を使用しているが、新日軍は日本軍との区別のため、米軍から支給されたウッドランドMARPAT迷彩服を着用している。 両軍の違いは服だけではなく、武器にもあらわれている。 日本軍は89式小銃と9mm拳銃だが、新日軍はHK416とグロック18だ。これも米軍からの支給だろう。 淡路島での戦闘は基本的に歩兵戦で、兵器が投入される戦闘は滅多にない。 淡路島での戦闘が始まった直後には多数の兵器が投入されたが、戦闘が泥沼化するにしたがって兵器は温存され、歩兵戦がメインになった。 使用される兵器とすればUH-60JAやUH-1JAなどの輸送用ヘリコプター等だ。 そのヘリコプターも基本的に非武装で、兵員を輸送すればすぐに戦場を離脱して行くため、戦闘に使われる兵器は全く無い。 そして今まさに、そのUH-60JAに6人の武装した兵士が乗って、戦場に向かっていた。 MARPAT迷彩に身を包み、肩のワッペンにはパラシュートが描かれていて、その下には第4空挺団と書かれている。 その内一人は周りにいる隊員より一回り体が小さい。多分女性隊員だろう。 そのUH-60JAはある建物の上で空中停止し、ロープを下ろした。 そのロープでその建物の屋上に隊員が次々と降りる。 その建物の外では激しい戦闘が起こっている。とはいえ、いつもの小競り合いだが。 6人の兵士を下ろすとUH-60JAは離脱していった。 6人の隊員が降りた建物は銀行があった場所のようだ。 無論、その銀行は今絶賛休業中だが。 日本国の分裂で国内の経済は混乱し、大企業以外の中小企業は倒産が相次ぎ、経済は崩壊状態だ。 銀行の屋上に降りた6人の隊員は機材搬入用の入り口を開け、建物内に突入して行った。
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