淡路島戦区

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屋上から銀行内に入り、周囲を見回す。 周りは本棚に囲まれた部屋だった。その本棚には元々沢山の本があったのだろうが、今は何の本もない。 部屋に誰もいないのを確認して、先頭の隊員は屋上にいる隊員にハンドシグナルを送る。 それを受け取った隊員が続々と部屋に下りてきた。 全員が集まったところで、部屋のドアを少し開けて隣の部屋を覗く。 ドアを開けたとたん銃声が大きくなった。部屋内には日本軍の兵士が外にいる新日軍の隊員を攻撃していた。 外への攻撃に集中している為、内部に入った第4空挺団の隊員に気づいている様子はない。 部屋内を覗く隊員が胸元のスタングレネードを手に取った。 それを見た他の隊員はHK416の安全装置を外す。 そしてスタングレネードを室内に投げこんだ。そのスタングレネードが爆発し、それを合図に室内に飛び込んだ。 室内には目を押さえて倒れている兵士がいた。その兵士を的確に撃ち抜いていく。 だが、撃たれた兵士からは血は流れず、ただ少しだけ悲鳴を上げて昏倒していくだけだ。 そう、第4空挺団隊員の持つHK416には実弾は装填されていない。 装填されているのは第4空挺団専用の非致死性のラバー弾だ。 少しすると室内は静かになり、スタングレネードの靄が晴れると部屋の床には昏倒した日本軍の兵士がいた。 「オペレーション8、コードイエロー。繰り返す、コードイエロー。」 『了解、コードイエロー。』 そう、第4空挺団の任務は「敵戦力の排除」ではなく「敵戦力の捕縛」なのだ。 そのため、使用する弾薬はラバー弾であり、敵に対して死者を出すことはない。 「葉月、行くぞ。」 「了解。」 葉月と呼ばれた女性隊員は呼んだ隊員――島屋――の後についていく。 「次はどこへ?」 「あれだ。ジョイントオペレーション。」 「あぁ、あれですか・・・・。あれで淡路島の戦闘も終わりますね。」
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