淡路島戦区

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「本部!本部!日本軍からの奇襲を受けている!今すぐ増援を送ってください!」 葉月は必死に無線に叫ぶ。しかし、無線機からは無情なノイズ音しか返ってこない。 隣では島屋がHK416を日本軍兵士へ向けて撃っていた。その銃から放たれる弾は今回に限り5,56mmの実弾である。 新日軍南あわじ基地は日本軍の攻撃を受けていた。 この日の昼――ちょうど半日後に迫った『オペレーション・エンド』の開始を直前にして、突然の日本軍の奇襲――新日軍は完全に浮き足立っていた。 防衛の為に出動させる兵器――M1A2エイブラムス戦車やストライカー装甲車など――は奇襲による混乱で格納庫内で足止めを食らっていた。 今のところの攻撃は――とは言っても葉月から確認できるのは――日本軍の歩兵からだけだが、後から兵器が来るかもしれない。 すでに無線は妨害され、四国からの増援がいつ来るかもまったく分からない。もしかしたら増援は来ないまま私たちは死ぬのかもしれないが―― 淡路島が落とされれば四国が危なくなる。ここで日本軍に負けるわけにはいかなかった。 すでに正門を日本軍に突破され、多数の負傷者が出ている。これ以上押し込まれるわけにはいかなかった。 葉月など、HK416などの自動小銃を自室で保管している隊員はすぐに反撃できたものの、自動小銃を武器庫に保管している隊員は限られた武器――グロック18など――での反撃を余儀なくされていた。ひどい場合はそれもなく、ただ自室に隠れているか武器庫に武器を取りにいかなければならない隊員もいた。 こんなタイミングで日本軍が攻撃してくると言う事は、どこからか情報が漏れて、それを受け取った日本軍が攻撃される前に攻撃してきたと考えた方が妥当だった。だが、今はそんなことを考えても何の解決にもならない。 「葉月!本部への交信を続けろ!」 「了解!」 島屋に指示されて再び胸元の無線を手に取る。 「本部!こちらエアボーンチーム4!南あわじ基地が日本軍からの攻撃を受けている!コード3を発令!繰り返す、コード3を発令!」 しかし、やはり無線からはノイズしか返ってこない。 と、突然基地に爆音が響いた。 そして葉月は一番聞きたくなかった『音』を聞いた――
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