淡路島戦区

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「葉月!大丈夫か!?」 気づくと葉月はベットの上にいた。天井に吊るされた照明の光が目に刺さるようだ。 内部から殴られるように痛む頭をゆっくり起こしつつ、混乱する頭の中を整理する。 確か、90式戦車を破壊しにいこうとして武器庫を出て―― そこからの記憶が無い。何度思い返してもそれから先の記憶は出てこない。 「私は何を――?」 「武器庫を出たところで90式戦車の砲撃に運悪く巻き込まれたんだよ。」 「えっ・・・・?」 「爆発で吹き飛ばされて壁にたたきつけられ気を失ったんだ。」 「そのあと・・・・基地は?」 「制圧された・・・・すまない。」 それを聞いて葉月は下を向いてぎゅっと手を結んだ。そこでハッとして様な顔になった。 「ここは・・・・どこですか?」 「旧淡路島南パーキングエリア・・・・四国からの増援が到着しているが――正直なところここを攻撃されれば負けるだろうな。残存部隊は淡路島からの撤退を始めている。」 「ということは・・・・」 「本部は淡路島を・・・・捨てた――」 「そんな・・・・」 歴史が動いた日というのはこう言う時の事を言うのだろう、と葉月を思った。 これで四国は危なくなった。 四国と淡路島は2キロしか離れていない。まさに目と鼻の先だ。 FH-40などの砲撃兵器でなら余裕で射程距離内だ。 これで新日側は追い込まれる形になった。 葉月と島屋はこの後トラックに乗って四国に撤退した。 そしてその日の午後8時―― 新日軍の全隊員の淡路島からの撤退を完了した――
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