9792人が本棚に入れています
本棚に追加
今日、宿ったことが分かった
新しい命。
そして、半年近く
生きようと頑張っている命。
どちらも同じ命なのに、自分の中に起こる感情は正反対だ。
「良かった!って喜んでいるのに、頭の片隅で一志君の事を考えているの。比べるものじゃないのに、ふっと我に返るの」
病床で病と闘う一志をずっと見て来た。父親と兄の事も片付いて、気にやむ事はなくなった。
なのに、容態が良くなるどころか悪い日が続く。
どうにか、どうにかと必死に命を繋ぎ止めているのに…新しい命は次々と宿っているんだ。
別にそれが悪いわけではない。
仕方のない話
どうしようもない話だ。
だけども
考えてしまうのだ。
「百花、一志君を可哀相とか思っているなら止めろよ」
「え?」
礼斗の厳しい口調に、身体が
緊張する。
「一志君は生きる為に、頑張って闘っていると分かっているのに、苦しむから可哀相なんて思っていたら失礼じゃないか?美波ちゃんの赤ちゃんは関係ないだろ。何故、一緒にしてしまうんだ?しているだろう」
「…………っ!」
喉の奥がつまり言葉が出ない。
…言われた通り
なのかもしれない。
.
最初のコメントを投稿しよう!