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眠りから覚めたら、まだ車の中だった。
運転席を見ると礼斗の
姿がない。
ボーッとする頭を動かし周りを見ると、どうやら我が家の前で車が停車したままのようだ。
どうしたのだろう…
何で中に入れてくれないの?
暫くすると、礼斗が溜め息をつきながら車に戻って来た。
「礼…斗?」
「起きたか…仕方ない、俺の家に行くか」
ん?どういうこと?
家を目の前にしながら中に入らず、何故か礼斗の家へと車は走り出してしまった。
「喫茶店で話している間に、おばさんから電話が来てたみたいなんだ…気付かなくて、さっき玄関前で電話したんだ」
どうやら、親戚の誰かが倒れたらしく栄子は直ぐに仕度をして出掛けてしまったようだ。
『熱があるモモちゃん一人にするの心配だから、迷惑じゃなければアヤちゃんのウチで見てて貰えないかしら』
…だそうだ。
「仕事の…邪魔じゃない?夜になれば兄ちゃん達が…帰って来るし…大丈夫よ?」
私をチラッと見た後、礼斗の
大きな手が伸びてきた。
わしわしと頭を撫でながら
礼斗が笑っている。
天使の笑顔を見た後だけど…礼斗の笑顔には、どんな笑顔にも敵わない。
こんなに心が落ち着いて、胸がきゅんってなる笑顔はない。
「百花が傍にいたほうが安心だし、かまいたくて仕事が早く終わるから良いんだよ」
やっぱり、礼斗大好き。
安心した私は
再び、眠りについた。
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