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年明け早々、私
東城 百花【トウジョウ モモカ】は
風邪に悩まされていた。
元旦から熱でうなされ、三日目には引いたものの咳と鼻水など他の症状が残ってしまい、これがかなり辛い。
お正月が終わり皆が通常の生活に戻った日、待ってましたといわんばかりに病院に向かった。
「風邪だね。薬出しておくからね。お大事に」
長い待ち時間を経て、やっと診察が終わった。
診察より待ち時間のほうが長いって、どうなの?と思いつつ会計を済ませ、処方箋を貰いに薬局へと向かった。
「いい天気…元気だったら礼斗の所に行くのになぁ」
礼斗は締め切りに追われ、ここのところ家で篭っている。
毎日行くと気を使わせちゃうし邪魔になると思って、二日に一回のペースで身の回りの世話をしに行っている。
なかなか順調らしく
良い感じだ。
病院の裏口から出て、中庭を通り過ぎた先に薬局がある。
入院施設のある総合病院なので中庭には入院患者や、見舞いに来た人がベンチに座り談笑していた。
ちょっとした憩いの広場に
なっているみたいだ。
あまり来ない所だから見るもの全て珍しい。
「それにしても…寒いっ!早く薬貰って帰ろう」
風邪プラス冷たい風…つまらないシャレを言っている場合じゃないな。
薬局に行き薬を受け取る。
温かい所と、寒い所の行き来が堪える。
ヤバイ、背中がゾクゾクする。
本当に
風邪が酷くなる前に帰ろう。
――その時だった。
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