天使な人

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フワリと目の前を 白いものが横切った。 寒いと感じていたのは今なのに何故か、春のような暖かさを感じた。 何かが舞い降りてきたような 不思議な感覚… あまりの事で、呆然としてしまい薬を落としてしまった。 「…薬、落ちたよ。大丈夫?」 また、フワリと私の前に白い手が差し出される。 それが私には 白くて美しい羽に見えた。 「えっ?うわっ!天使!?」 何言ってるんだろう、私。 恥ずかしい… でも、見えたんだ。 「プッ!…アハハハッ!面白いこと言うなぁ」 その天使は大きな口を開けて 豪快に笑っている。 よく見れば白いものは着ている服で、フワリとしたものは羽織っているカーディガンだった。 寒いのに、薄着だ。 風邪を引いてるから、余計に 寒く見える。 「ごめんなさい、変なこと言って。拾ってくれてありがとう」 薬を受け取ろうと手を差し出すと、目の前にあった薬がスーッと上がっていく。 天使…じゃなくて、目の前の男は薬を高々と上げたまま、ニコリと微笑んでいた。 「あの…悪戯止めてくれませんか?」 「俺の相手してくれたら返してあげるよ」 何故? すっごく 楽しそうに言ってるけど… 変な人に 捕まっちゃったなぁ。 .
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