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薬はまだ、アイツが
持っている。
風邪を引いていて辛いから早く帰りたいと、何度言っても聞いてくれない。
今だに、中庭で揉めている私達って何なんだろう。
「あったかい所に行けば、大丈夫だろ?」
「そういう問題じゃ…ちょっと!?」
強行手段に出たのか、私の腕を掴むと病院の外に出て行く。
しかも私の行きたい方向とは逆に進んで行き、帰り道がますます遠ざかっていった。
「どこ行くんですかっ!?私、貴方の名前さえ知らないのに何で貴方に付き合わないといけないんですかっ!初対面ですよ?放して下さいっ!」
引っ張られながら文句を言っていると、ピタリと足を止め振り返ってきた。
てっきり、怒っているのかと思えば満面の笑みを見せる。
何で、笑顔なのよ…
「貴方、貴方って…名前知らなきゃ呼べないよなぁ。ごめん、ごめん。俺、間中 一志【マナカ カズシ】っていうんだ。教えたんだから名前で呼んでね」
違うっ!
注目すべき所は
名前じゃないって。
話しの論点がズレてるよ!!
やっぱり、ニッコリ笑いながら再び私を引っ張りながら歩き出した。
だが、二、三歩進んだ所でまた歩みを止めた。
今度は何よ?
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