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母・栄子に風邪が酷くなって辛いから迎えに来てほしいと伝ええると、何故か礼斗が車でやって来た。
「百花!大丈夫か!?」
物凄く、心配しながら私の傍まで来ると私を自分の胸へと抱き寄せた。
…ホッとした。
だけど、仕事が忙しいと思って礼斗に電話しなかったのに…なんで言っちゃうかな。
最近の礼斗は、ずっと短かった髪を少し伸ばし仕事時は眼鏡を掛けるようになった。
そして今、目の前に現れた礼斗は眼鏡を掛けている。
仕事中に栄子から電話を貰って飛んで来たのが分かる。
「百花…熱が上がっているな。直ぐに帰ろう」
「あのっ…!」
礼斗が私を抱き上げようとした時、羽柴が呼び止めた。
今にも土下座でもして謝ろうとしている感じだ。
それは物凄くマズイので、私がこうなった理由を話さないで欲しい。
礼斗が
怒るに決まっているもの。
「礼斗!この方達は…私が具合悪くなったのを…助けてくれたの」
熱で喋るのも怠いのに、この時ばかりは嘘がスラスラと出てきた。
「え……あ、ああ!そうなんです。近くに休めそうな所がなかったので、取りあえずこちらのお店に入ったんですよ」
羽柴は私が必死で隠している事を察してくれたのか、話しを合わせてくれた。
…助かったよぉ。
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