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徳島県徳島市内にある徳島県立博物館。その正面入り口前に1人の少女が立って空を見上げている。
8月という時期、空には入道雲が浮かんでいる。
その少女は、ゆっくり流れる入道雲を目で追いかけている。
正確には『目』で追っているのではなく、『カメラ』で追っているのだが。
その『カメラ』は、はたから見ると目に見える。少し、色がおかしいが。
その目の部分は、血を薄くしたような赤色だ。
「椛~、ちょっと手伝って~。」
どこからか声ふぁ聞こえる。赤い目をした少女はゆっくりと声のしたほうに機械的に歩き始めた。
赤い目の少女----正確には外見を限りなく人間に近づけたロボットだ。
機械と人間が生活で共生できるかを調査するため、徳島県に配備されたのだ。
秘密裏の実験の為、少女がロボットであると知っているのは、彼女を裏で操作、指示するごく一部の人間しかしらない。
その機械少女の名は『9(ナイン)』だが、その名前では人間に怪しまれる為、『秋風椛』という名前がつけられている。
椛には最新鋭の人工知能と人工感情が埋め込まれている。
この2つである程度、『オリジナル(人間)』と同じような行動が取れる。
椛のカメラには先程、彼女を呼んだオリジナルの姿が見えている。
椛のデータベースがそのオリジナルの情報を検索し、椛の知能に表示する。
そのオリジナルの名前は『立神 唯』、椛の教育係だ。
「その段ボールを第1展示場まで持っていって飾っておいてくれる?」
椛のデータベースが再び動き始める。今度は唯の質問に対して一番良い返事を探す----見つけた。この間僅か0、1秒
「わかった。」
椛はそう言ってタンボールをひょいと持ち上げる。そしてそれを展示場まで持っていくため、移動を始める。
その間にも、椛の知能には目標までのナビゲーションを開始している。
そのナビゲーション通りに椛は歩いていくが、その歩き方はどこか機械的だ。
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