14633人が本棚に入れています
本棚に追加
/355ページ
紗浬の隣というこの場所を守るためにも、自分ががんばらなければいけないのに。
なぜか火花を散らす兄妹に気づかれないように苦笑いを浮かべ、小さく深呼吸をする。
「けど、昔は昔、今は今、じゃないの?高校卒業してから何年も経つのに、いつまでも高校生気分でいるような煌じゃない」
「颯希先生、確かに高校時代は生意気なガキで女遊びも激しかったですよ。それでも昔なんかじゃなくて、今の俺を見てから言ってほしいです」
紗浬のいる前でこの話は本当はしたくない。
けれどそういうわけにはいかないし、今はもう何もないのだから堂々と胸を張って言う。
「今、ねぇ?まぁ確かに昔のことしか知らないし今の栗城がどんななのか全くわかんねぇし?2人の言うことは一理ある」
「だったら、お兄ちゃんがもしお姉ちゃんと一緒になる時に私達に言ってるようなことを言われてたらどうするか、自分に置き換えて考えてみてよ」
「……別に置き換えなくても2人に酷なことを言ってるのはわかってる」
予想外の颯希の言葉に少し戸惑った。
わかっているのならどうして言ってくるのだろう…
そんな疑問が2人によぎる。
最初のコメントを投稿しよう!