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どうやらやっと思い出してくれたようだ。
「梓さんにまさかここでお会いできるとは思ってもみませんでした」
「私もよ。八年前に別れて以来全く会ってはいなかったからね。でもあなたの活躍はちゃんと聞いてますよ。もう自分のことのように嬉しいですから」
梓さんはそう言いながら少し興奮した様子で話し掛けてくる。オレは梓さんの問い掛けにはできるだけ答えていた。まぁ、言える範囲内だけど。
「あの~、お二人ともお話し中に失礼ですが私のことを忘れてはいませんか?」
「あっ、ごめんなさい。紫乃先生がいたのに二人だけで話しちゃって悪かったわね」
「いえ、あまり気にはしてませんけど、そろそろお二人の関係を教えてくれませんか?それと蓮君の正体も・・・・・・」
「えっ!?」
これは驚いて思わず声が出てしまった。まさか退屈そうにしていた紫乃先生がオレが正体を隠していることに気づいていたとは思ってもみなかった。
オレの正体のことはマスターから必要最低限の人にしか話したらいけないって言われてる。だからオレからはあまり話したくはないけど、この際だから紫乃先生には教えても問題はないかな?
もしオレが教えなくても梓さんが教えてしまう可能性がある。
別に梓さんが教えても構わないがやっぱり自分のことは自分で言った方が良いな。オレは少しの間にそんなことを考えて、すぐに行動に移していく。
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