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「しょうがないよ。王室警護の仕事には最低でもギルドの帝と同じくらいの実力がないといけないから、そんな人はあまりいないからね。だから私と悠紀は仕事に行かないといけないの」
「本当に二人を尊敬するわ。私なんかSSSランクあっても帝のレベルには届かないもの」
「まぁ、私と悠紀は昔からかなり鍛えてるから帝と同じくらいの強さを持ってて当然と言ったら当然なんだけどね」
香恋は胸を張りながらそんなことを言っているが、香恋ほどの実力者ならそんなことを言っていても違和感はない。
少なくてもこの時の私はそう思っている。
「おい、香恋!!そろそろ行くぞ!!」
二人が話している時にいきなり男性の声がする。この声の人が先程から名前だけ出ている蓮の父親の悠紀。
悠紀は香恋とは少し違った性格の持ち主であり、自分のことを強いとは思わずにいつも鍛練を怠らない真面目な人だ。
「ほら、いつまでもアズと話してないで行かないと時間に間に合わないぞ」
香恋と悠紀は昔からの付き合いである私のことを【アズ】と呼んでいることからどれだけ親しいのかが伺えてくる。
「はい、はい。わかってますよ。」
香恋はそう言いながら悠紀の方へと歩いて行ったのだが、いきなり私の方を向き直り、そして言った。
「アズちゃんできるだけ早く蓮を迎えに来るけど、何かあったらお願いね」
「オレからもお願いしておく。いつものことかもしれないがオレと香恋が戻らない場合は蓮を任せたぞ」
「二人ともどうしたのよ?やけにいつも以上に念を押してるみたいだけど。私はできるだけそんなことにはならないように祈ってるから、あなたたちは蓮君の為に帰って来なさい。それが蓮君の親であるあなたたちの仕事なんだから」
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