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一枚目の手紙は蓮君の両親、つまり悠紀と香恋からだった。
蓮君は両親からの手紙を読み終わると自然と察したみたい。自分のことを大切にしてくれた両親はもう帰ってこないのかもしれない。
もう一度だけ会いたいと思っても会うことはもう二度とできないってことを。
こんなことを考えたら、自然と目から涙がこぼれ落ちる。止めようと思っても決して止まることのない悲しみ。
自分の心に深く刻み込まれる悲しみにどうすることもできず、ただ泣くしかなかった。
私はそんな蓮君の気持ちを察して、蓮君を抱きしめながら一緒に涙を流した。そうでもしないと、このやり場のない悲しみが心を壊してしまいそうだから。
しばらく泣いたら、私は蓮君にある提案をしてみる。
「蓮君、今日から私や優里と一緒に生活しましょう。これからはあなたも私達家族の一員よ」
「梓さん・・・・・・・・・・・・ありがとうございます。梓さんの優しさに甘えてしまいますがよろしくお願いします」
こうして私は新たに蓮君を家族として迎え入れて、優里を含めた三人で蓮君が魔法学園に入学する八年前まで一緒に過ごすのである。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
って感じのことがあったんです。これが私と蓮が一緒に住んでいたってことの説明になるのかな」
梓さんが一通りのことを紫乃先生に話すと、紫乃先生は既に泣いてしまっていた。それもかなり号泣で。
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