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文久三年六月の、ある雨の日。
雨の山道を一人の少女が歩いていた。
傘もささずひたすらに少女は京へ続く道を歩いていた。
ばしゃっ、と水で抜かるんだ泥が跳ねる。
雨は勢いを増すばかり。
そんな時、遠くの方に開けた土地が見えた。
「あ…」
其処(ソコ)が少女の目指した場所。
“京”
彼女は嬉しくなり、其(ソ)の土地に向かって走り出す。
遠く聞こえる、地を這う音も聞こえず。
そして、少女は闇へ落ちていった。
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