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キィィィーーン 血に染まった大地。 赤と黒に染まりきった空。 そんな世界で、俺の剣と相手の剣が交錯する。 俺は目の前にいた相手…口元から上がよく見えないのでなんともいえないが、多分女の子だと思う。 その女の子に向かって何かを叫ぶ…が、何と叫んだか解らない。 そして女の子も何かを叫んだ。 お互い何と言っているのか分からないまま、幾度となく剣を交える。 そして俺とその女の子はお互いに、僅かばかり距離をおき、突きの構えをとった瞬間、お互いが刹那の速さで突進する‼ そして… ザクッ……‼ むねに痛みが走る…。 よく見ると、お互いの剣がお互いの胸に突き刺さっていた…。 俺はその女の子と抱き合うように、そして、寄り添うように自分たちの血が滴り落ちた大地に崩れ落ち、そして、倒れる…。 俺はその女の子の顔を見ようとするが、やはり口元から上が見えない…。 するとその女の子が俺の方を見て、何かを呟いているのが見える…。 もちろん何と言っているのかは聞こえないがその表情は苦しくて、切なくて、そして… 悲しそうだった…。 その後、俺も何かを囁いた。 するとその子は一筋の涙を流しながら、少しだけ微笑むのが見えた。 その子の声が聞こえた…。 「…愛…してる…」
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