始まり 

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 ゆっくりと扉の開く音がする。 「えっと、失礼します」 「はぁい、どうぞそのパイプ椅子にお座り下さい」  若干遠慮がちに入って来たのは、どこかドジそうな若い青年で、椅子まで歩いて来るまで何回か、転けそうになるは、ようやく座る時には一回転けるなどかなりのドジッぷりであった。 「えっと、あの、初めまして」 「はい、初めましてッとあなたは、日本の兵庫県平成1994年11月24日生まれの、土井次郎さんですね?」  やる気無く書類に書いている事を読み上げる死神。 「はい!そうです」               「何とも、名前までドジッぽいなぁ」           ボソッとそう呟いた。                「えっと、何か言いましたか?」 「いえいえ、コチラの一人事なので気にせず」  死神は軽く微笑んでそう言った。 「はい……そうですか……」 「で、何故アナタは、今日の午前8時12分に亡くなられたんですか?」
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