26人が本棚に入れています
本棚に追加
アンダーテイカーは眼を見開いた。
全身を駆ける“死”の鼓動
抜刀されたムラクモの剣は、アンダーテイカーの胴を両断し――
オフィーリアがそれを止めた。
それこそ瞬間移動で現れたが如く速度で。
ムラクモは、僅かに口端をつり上げた。
「姑息とは………我も命がけだったんだがな?」
「上段に構えとらせて、二撃目のない全身全霊の一撃を放たせる………まぁ、今のコイツに出来んのはそれが限界やったかもしれへんけどな………!」
ギリギリと競り合って、ムラクモは大きく背後に跳んで間を取った。
一つ振り払って片刃の剣を鞘へと納める。
ポタ………と。
その足元に落ちる血液。
「斬らせるつもりはなかったんだが………それもさすがと言った所か」
見れば、僅かだが右の肩口が裂け、血が滲んでいる。
掠めた
アンダーテイカーの剣が
ふん………と
オフィーリアもアラストルを振り払って、空いた手を腰に当てる。
「………で、どないすんねん?如何に『修羅』言うたかて、こない挨拶廻りみたーな場で俺等相手に最後まで斬り合いするんか?」
ふぅ………と
ムラクモは一つ息を吐いて、自社のビルを見上げた。
鎮火はどうにかなったのか、炎の赤は見えない。
今だ黒煙は上がってはいるが――
「今はここで終いだ………これ以上は無意味」
そうと
ムラクモは二人に背を向けた。
「強者がいれば、是非に剣を交えたくなる………その機会を待つ………」
それだけ言って、ムラクモはその場を後にしたのだった。
最初のコメントを投稿しよう!