序章:「やってきました新任課長…と、え?課長補佐!?」

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 若い刑事―『テイラー=イースタン』警部補は、頭抱えて悲痛に喘ぐ。  因みに、この二人親子だと言うのは余談。  ともすれば、この親子漫才も、三日に一度のBarの定番イベントと化し、バーテンも他の馴染み客も生温か~くスルーかましてくれている。 「まぁちょっと座ってかねぃか?」 「俺仕事中だって言わなかったか?」 「男には、断れねぃ一杯てのがあるだろが!」 「警官が勤務中に一杯ってドンだけだよ!?」 「だってよぅ、アルベルト課長が辞任してこっち、兼任課長がやたら喧しいだろぅ?」  ―う  そうと言われて、さすがにテイラーも一つ呻いた。  『グレイ=アッシュ=アルベルト』課長。  ほんの一月前、電撃辞任した前任『陰契課長』である。  辞任の理由は詳しく語られなかったが、突然の辞任にはロイナスもテイラーも驚かされた。  しかも署長と共に、である。  当初は●●●●な事件に二人して足突っ込んだだの、二人して汚職に手を染めたんじゃないかだのと署内で散々噂が飛び交ったが、その真相は定かにされていない。  ただ―  ロイナスやテイラーにとっては、尊敬に値する人物だった。  刑事としての手腕は優秀で、その銃の腕は正に神業。
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