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「約束。じゃあ行ってくるな」
「雅彦さん、行ってらっしゃい」
「パパ、いってらっしゃーい!」
正哉の元気な声を聞いて、ドアを閉めた。
はたから見れば、仲のよい幸せな家族の光景。
吐き気がする。
でも、俺はあの子が、正哉が愛しいのだ。
それに、正哉はまだ小さい。
母親が大好きで、欠かせない存在なんだ。
引き離せば、きっと正哉は悲しむ。
それに、そうなれば菜子は怒り狂って何をするか分からない。
あいつのさっきの顔を見たか?
あの笑顔の下にどれだけ醜い顔があるか、正哉は知らないんだ。
あいつは狂っているということを―
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