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「おはようございます」
まだ人がまばらなオフィス内に、精一杯声を張り上げて挨拶をした。
ため息をついて、椅子に腰かける。
…そもそも、俺とあいつはそんな行為をしたか?
そんな覚えはない。
でも事実なんだ―…
怪しいのはあの日。
上司に飲み会に誘われ、ひどく酔っ払ってしまった時だ。
あの時のことは何も覚えていないんだ。
ただ、あいつにキスをされたことだけ……
「おはようございます。中川さん」
後ろから誰かに声をかけられ、はっとして振り返った。
「…あ!三浜さん。おはよう」
同僚の三浜 裕海(みはまひろみ)
長い綺麗な黒髪に整った顔立ち。
優しくて、多くの人から人気がある。
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