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――――――
くそっ……
俺は心の中で小さく悪態をついた。
別に俺が比較的に気性が荒いとか、極度のめんどくさがり屋なんて事は無い。
だけどこの状況には悪態をつくのも仕方がないと思う。
迅の野郎、後で会ったら覚えておけよ……
「ななな!何なんだ君は!!」
目の前ではワナワナと体を怒りに震わせながら俺を指差すデブメガネ。
まさにいかにもって感じの脂ぎったテカテカの額には玉のような汗が滲み、恐らく二十代なのだろうが、既にお腹周りは大変な事になっている。
キチキチに上げたズボンに、背中にはリュックサック、そして額には迷彩柄のバンダナときたもんだからもう……な。
帰りやがれキモオタクがって話だよ。
そして俺の後ろには、このキモオタクに襲われそうになっていた幼……いや、辛うじて少女がいる。
つまりあれだ。
よくあるヒーロー役が俺で、悪役は当然このキモオタ。
そして今の状況においてヒロインにあたるのがこの少女の訳だが、些かヒロインにしては少し子供過ぎる。
どうせならもっとナイスバディなお姉さまが良かったと思う俺は、腐ってもやっぱり男だったって事だな。
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