親指姫

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   へー、冥土の土産になるよ、その豆知識。天国のお婆ちゃんに教えてあげよっと。   「いい加減目を開けろ。いつまでガムの気分を味わう気だ?」   「え? 胃液で溶けるまで」   「……馬鹿」    なんだとコラ。馬鹿って言った奴が馬鹿なんだよ。  て言うかアンタもいつまで私の首掴んでんだ。手の平に置くとかそのくらいしてくれよな。    ゆっくり目を開けて視界に入ってくるのは、犬の腹の中じゃなくて眼鏡かけてる男の顔。まあ簡単に言えばコイツに助けられたんだけど、元凶はコイツだからお礼なんか言わない。九死に一生を得たのは私の人並み外れた悪運のお陰なんだよ。   「そう、私は天才なのだ!」   「根も葉もないな。……まあどうでも良いが、俺から離れるなと言っただろ。次も助けてやれる保証はどこにも無いぞ」    私の言葉を華麗にスルーした眼鏡野郎は、私を自分の肩の上に乗せて歩き出す。
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