エピローグ

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『無理しない様にね‼』そう言って同僚がオフィスを後にしてから、かれこれ1時間位たっただろうか…ようやくプレゼン資料の作成も一段落し、荷物を纏めてオフィスを後にビルのロビーまで降りてきた。 もう外は陽も暮れて真っ暗。 しかも、まだ雨が降り続いていた。 私は傘をさし足早に駅へと向かった。 そして駅の手前の大きな交差点の赤信号に暫く足止め。 やっと青に変わったのを見て歩き出した。 交差点の真ん中まで歩いていた私の目の前に、人並みを避けきれずに鉢合わせになった男性の姿が…。 私も前寄りに傘をさしてたから解らなかったんだと、男性に『ゴメンナサイ‼』そう声をかけながら、上げた傘の向こうには…学生時代から付き合い、4年前にニューヨークへ単身渡米して行った、元彼の片山直哉の驚いた姿が…私も、何で…⁉ 突然の再会に、2人は一瞬言葉を失ったが、直哉の『よう‼』の一言で我に返った。 そうこうしてるうちに信号も変わり、車のクラクションに促される様に、直哉が手を引かれて駅の方へ…。 『久しぶりだね~元気だった?』 直哉の問いかけに私は『うん‼私は元気だったけど、直哉は⁉』 私が問いかけると、『何とかな~‼』 続けざまに私は、 『ところでいつ日本に帰って来たの⁉』『何で帰って来たのを教えてくれなかったの?』 直哉とは高校生の頃からの付き合いで、卒業後も直哉は証券マン、私は外資系企業のOLとして働きながらも、順調に付き合っていた。 でも直哉が仕事の関係でニューヨーク支店への辞令を受けて、夢を追いかけて、一緒にアメリカへ来て欲しいとプロポーズを受けたのだった。 直哉からのプロポーズに、私は凄く嬉しかった…。 でも…その頃、私も今の企画部でプロジェクトを任されだしたりと、大変なりに仕事への充実感とやりがい・楽しさを感じ始めていた頃だった。 それと、直哉は好きで一緒に居たい…❤ただ、今の仕事を辞めて、一緒にアメリカに行って、向こうで上手くやっていけるのかが不安で、勇気が出して、『うん‼』と言えなかった。
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