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「あ、インザーギさん」
俺が「ほー」とか言いながら自分の胸を揉んでいると、後ろから声をかけられた。
「違うよ。どこのサッカー選手だよ」
「イタリア?」
「そういう事じゃなくて…とにかく、僕はインザーギじゃなくて、石崎だよ」
「スウェーデン?」
「確かにいるけど!サッカーはもういいから…」
石崎さんはため息をついた。
「それで、何か用ですか石崎さん」
俺が小首を傾げながら尋ねると、石崎さんは突然左手で目を覆い、右手で待ったをした。
「ああっ、やめて!小首を傾げないでっ!惚れてまう!」
「………」
石崎さんは俺のアイドル活動をプロデュースしてくれている人だ。
つまりプロデューサー。
みっちゃんという愛称は、Michiruだからではなく、光彦の愛称だ。
石崎さんは俺が男だという事は知っているのだ。
それなのに…惚れるってどういうこった?
「やめたかい?小首を傾げるのはやめたかい!?」
「やめましたよ」
そう言うと、石崎さんは両手を降ろした。
「ふう…全く、迂闊にそんな事しないでもらえるかな」
「はあ、すみません」
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