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俺は頭の中で自分の男の姿を想像して念じた。
するとその瞬間、俺の周りを光が包み込み、その光がなくなった時には既に男に戻っていた。
何よりの証拠として、あの重くてデカい胸がなくなっている。
「あ」
ステージ衣装を着たままだった。
今の姿はとても見られたものではないだろう。
今のままで姿見の前に行く勇気は、俺にはない。
とりあえずさっさと着替える事にした。
バックの中に入っているジーンズとドクロのマークが入ったティーシャツを手早く着る。
因みにティーシャツなのは今が夏だからだ。
「石崎さん、もう戻りましたよ」
俺の声はいつもの声変わりした低い声に戻っていた。
うん、やっぱりこっちの方がしっくりくる。
「本当かい!?本当に戻ったのかい!?」
「…声を聞けば分かるでしょう」
「ん?…ああ、確かにみっちゃんの声だ。Michiruの可愛らしい声じゃない」
…可愛らしい声じゃなくて悪かったな。
いや、自分の声が可愛らしくても気持ち悪いだけだが。
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