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その夜俺は独り、ベロンベロンに酔っ払って、久々のキャバクラを出ると、女がやたら太った男にカラまれているのを見た。
一目でそれと判る水商売の女を、男は猫撫で声でしつこく口説いている様だったが、しまいにムリヤリ女の身体を触り始めた。
俺は間に割って入った。
曲がった事を見過ごせないタチだからではない。
ここで活躍して、むしろ俺が触らせてもらいたかったからだ。
絶対に俺の方が触りたい!
そういう気持ちが、俺を強くした。
それに正直、相手がデブだから大丈夫だと思っていた。
割って入った俺は、女から男を引き離そうと試みたが、男がビクともしない事に気付いて初めて、自分の見積りの甘さを呪った。
男は何故か、自分が柔道部の副キャプテンだった頃の、輝かしい栄光をしきりに語りながら、シコタマ俺を殴った。
俺は、彼の武勇伝を聞きながら、シコタマ殴られた。
副キャプテンて。
殴られて殴られて、あぁ、コリャもうダメだ、俺は気絶するんだろうなと思った時、何処からか、パトカーのサイレンが聞こえ、俺は路上に置き去りにされた。
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