直球少年

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 ケータイのアラームがけたたましく鳴った。  目覚ましなんてものはズイブン久し振りで、俺はそのやかましさに辟易しながらも、重い体を起こす。  俺はイッタイ何をしてるんだ。  あのガキにトランペットを教える?  何の為に俺はそんな事をしようとしているのか。  決まってる。深刻に余剰した時間を、消費する為の暇潰しだ。  俺は着替えて部屋を出る。  5分程歩いて、公園に着くと、ガキはすでに練習を初めていた。 「いいココロガケだな」 「おせぇよ! 俺なんか、もう1時間も前に来てんだかんね!」 「オイオイ、それが人にモノを教わる態度かよ」  ガキは口を尖らせる。 「まぁいい。まずな、お前は基本がなってねぇ。B(ベー、英表記はB♭)吹いてみな。ロングトーンでな」  ガキは不服そうにトランペットを口に押し当て、吹いた。
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