反省文

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 そうして、熱いブラックを一口すすった俺は、自分のアホさ加減に愕然とした。 「何だコレは!」 「何だコレは!」  あまりの事態に、思わず2回も口走る。  まず、ビデオ屋の袋のデカイ事……。いつだったか、ブルゾンを買った時のデパートの袋と同じサイズの奴が来た。3つ。  大体、こんなサイズの袋がビデオ屋に有ることからして知らなかった。  で、その中にはエッチなDVDがイッパイに詰め込まれている訳だが、その中の1つは、俺がコーヒーを淹れている間に倒れたのだろう、その中身をフンダンに撒き散らし、卑猥なパッケージの裏表を惜し気もなく晒している。 ――『あみの極太品評会』、『おっぱい大好き! しょう太君のエッチなイタズラ』、『社長秘書はインテリ痴女』、『チクビ快感伝道師』等々――、その光景といったら……、バカすぎる!  俺もいよいよ救い様が無い。  レジの女のコに悪い事をした。完全にヒいていた。不愉快だったろうな。なにしろ会計に30分掛かったからな。  なんでコンナことになったんだ。  袋からこぼれたAVを片付けもせず、足の踏み場もない程散らかった部屋の中で辛うじてその機能を保っている煎餅布団に寝転んだ。  タバコのヤニで黄色くなった天井。  大体、俺だって大学にいた頃は、そこそこイケてたんだ。  彼女だっていた。  それも、下半身直撃の、トビッキリの美人だ。
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