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●伝承
☆前身
古代スカンディナヴィアのサガに「クラーケン」の名は見られない。
しかし、類似する海の怪物として hafgufa と lyngbakr を挙げることができる。
これらは『ヘルヴォルとヘイズレク王のサガ』中のエルヴァル・オッド(Orvar-Odd)の物語などで語られている。
☆姿・大きさ
クラーケンの姿や大きさについては諸説がある。
巨大なタコやイカといった頭足類の姿で描かれることが多いが、ほかにも、シーサーペント(怪物としての大海蛇)やドラゴンの一種、エビ、ザリガニ等の甲殻類、クラゲやヒトデ等々、様々に描かれてきた。
姿がどのようであれ一貫して語られるのはその驚異的な大きさであり、「島と間違えて上陸した者がそのまま海に引きずり込まれるように消えてしまう」といった種類の伝承が数多く残っている(日本で伝承される赤鱏〈あか-えい〉の島もこれに類似する)。
15世紀アイルランドの聖ブレンダン伝承に登場するクラーケンの場合は、島と間違えて上陸したブレンダンが祝福のミサを終えるまで動かずにいたと伝えられる。
体長は2.5kmに及んだというこの“穏やかな”クラーケンには、クジラがその実体ではなかったかとの憶測がある。実際にクジラには漁業神や海神と見なされる側面があり、このような逸話が世界中に数多く存在する。
また、18世紀ノルウェーの司教ポントピダン(Erik Pontoppidan)が記すところでは、クラーケンが吐いた墨で辺りの海が真っ黒になったとされ、ここでは頭足類の一種と認識されていたようである。
※クラーケンを動物、とりわけ頭足類の一種と考えるのであれば、どれほど巨大であってもマッコウクジラやシャチといった天敵の存在が想定されるため、離脱用として煙幕のように墨を吐く機能を保持していることは生態的に自然ではある。
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