アーサーside

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まったく、今日もまた遅くなっちまった。 この学園の生徒会長という立場である俺はその仕事の一つである、余り実りのない生徒会会議を今やっと終えてきたところだった。 全く、今日の議題など正直意味がないと思うが、これも世界をまとめるためには仕方のないことなのか。 何故俺がたかだか放課後が潰れるくらいの会議に不満なのかといえば。 もちろん、日本と過ごす貴重な時間が削られたからに外ならない。 せめてもの救いは、日本が。 「それでは、イギリスさんが終わるまで図書室でお待ちしていてもよろしいでしょうか」 そう言ってくれたことだ。 日本が待っている図書室のドアに手をかけつつ、微笑んで迎えてくれるだろう日本を思い浮かべた。 だが、ドアを開いて目に入った日本は、予想とは違って。 宿題をしていたのであろうノートを開いたまま、机に頬をくっつけて眠っていた。 俺は起こさないように静かにドアを閉めてから、そっと日本近づいた。 ほんとうに気持ち良さそうに眠っている日本を起こすのも忍びない。 それに 眠っている日本をしばらく見ていたい気分になって、前の席に腰かけた。 ふと、開きっぱなしのノートに目をやると。 俺は思わず破顔した。 ノートの上の隅の方に、かわいい日本の 落書きが。 イギリスさん すきです ぽつんと書かれていたそれを指で辿り。 机に転がっているシャーペンを手にとって。日本の落書きの下に、 俺の落書きを追加してノートを閉じる。 ひどく愛しくて。 日本の髪にキスを落とした。
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