彼女の微笑

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 俺は今まで二十二年たいして迷ったり、悩んだりせずに、生きてきた。  高速道路の真っ直ぐな道を一定のスピードで走るみたいに、人生なんてこのままするする進んで行くと思っていた。  時々は良心の呵責を覚えることも、過去の自分の愚かさを顧みる事もあったけれど、それも生きていれば当然起きる些細な事として片付けてきた。  人生なんてまあこんなもんだろう。と思いながら生きてきた。  あの冷たい微笑を見るまで、俺は……。  こんなに苦しいことがあるなんて知らなかった。  今は柔らかい熱い何かがジワジワと締め付けるように俺の心を支配している。
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