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モモチとホームレス
「おまえさん、ニンジャのこすぷれいやーかい?」
場所を空け渡すと男はモモチに尋ねた。
肩まで伸ばした白髪混じりの、手入れのされていない髭、
着古した上着はすぼんでいる上の部分が横に破れペラペラになっていて、歩くたびにゆらゆらと揺れた。
「ハァー...どっこいしょー..,」
先程見た人間達と比べて歩行がおぼつかない。
体があまり丈夫ではないのだろうか。
「こす...?」
この時代の人間も忍者のことは知っているようだ。
しかし「こすぷれいやー」とは何のことであろうか?
篠原からこの時代の基礎言語は一通り学んだが、早速未知の単語が出てきてどう返答すれば良いかわからない。
「...。」
ここは何も答えずにやり過ごそう。
少なくともこの男は忍者という存在に対して警戒心を持っていないようだからな。
「まあ、ここに来て寝ようとするくらいだ、
答えたくないだろうな。」
下卑た笑い声を上げると男はリュックの中から
カップ酒と菓子パン取り出した。
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