モモチとホームレス

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先が真っ黒い爪でカップ酒を開けると蓋をゴミ箱目がけポイと投げた。 予想はできたが、こんな体の悪そうな男のコントロールなど良いわけがなく、ゴミ箱の側面にカンッ、と当たって落ちた。 そんなことを気にせずカップ酒に口をつけて、ぶはーっと汚そうな息を吐いた。 明らかに身分の低そうなこの男が酒を口にする光景を モモチは不思議そうに見ていた。 「なんだァ?これはやらねェぞ。」 声は上機嫌だが、目がすわっている。 「いや、いい。ひとつ聞いても構わぬか。」 砂場の縁に座り直し男と向かい合わせになったモモチは好奇心で聞いてみた。 「あァ。」 モモチの目を見ることなく酒を一旦置いて菓子パンをかじりながら生返事で返した。 「お主は此処で暮らしているのか?」 「そうだ。偶に河川敷に移るがな。」 パンと酒を交互に口にする。 事情があって、家がないのであろう。 そうか。と返した後、これ以上聞くのは野暮だと思い、何も言わなかった。 グウゥゥ~... モモチは自分の腹を右手で抑えた。 そう言えば時空を超えてから何も口にしていない。 男は潰れそうなしゃがれた声で笑っていた。
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