モモチとホームレス

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「お前さん、いいこと教えてやる。」 男は既に菓子パンを平らげていて、残りわずかな酒を少しずつ味わっていた。 酒が入って上機嫌らしい。 「何度もやるんじゃねェぞ。」 嗄れた声で牽制して、自分の腹をポンポンと叩きながら言った。 「こいつは貰いもん。売れ残りだ。 運がよけりゃァ、お前さんも貰えるかもしれねェゾ。 まっ、この種類貰えりゃ上出来だ。ガハハハ!!」 物乞いの癖して誇らしげだ。 しかし空腹をいつまでも我慢できる訳ではないし、物乞いを断って路上で倒れたら、自分の意識のないところで身元がバレるかもしれない。 モモチは男の話を聞き続けた。 「いいか、ここを左に出て、あの住宅の突き当たりを右に曲がって、 あとは真っ直ぐ...いや右にだったかなァ~...? まぁいいや。この近くだからテキトーに行けば着くぞ。お前さんで探せ。店の名前は...」 「!!」 まさか、と思いつつも、モモチはそこへ行くことにした。 「かたじけない。」 頭を軽く下げると、モモチは瞬時にその場を離れた。 あまりの速さに、男は目を見開き、酒のせいで幻覚と話していたようだと思い込みながら滑り台の上で眠りについた。
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