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人がおりても唸り続ける無機質な猛獣は、モモチに危機感を与えたので、思わず身構えてしまった。
篠原少年は何も言わずに迎えに来た父の車に乗り込もうとした。
「待て、何処へ行く」
「もう帰るよ。不審者がいるのに一人で歩いてられるかよ。」
助手席の窓を開けて少年は言った。
既に控え目な態度は生意気と、取って代わっていた。
「では、拙者はどこへ行けば…」
「知らねぇよ。そこらへんの公園で生活すれば?」
「おい、失礼だぞ。」
「だってあのオッサン明らかにヘンだろ…。」
その言葉を最後に、車は行ってしまった。
孤独な住宅街の路地は、明かりが四方で洩れているだけで、鳥や虫の鳴き声一つしていない。
未来とは、静かな時は本当に静かだな、
そう思い、モモチは公園を探し始めた。
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