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「ハク、大丈夫でしょうか……」
眠っているハクの顔を、かぐやが心配そうに覗き込む。
急に倒れてしまったハクを、僕は急いで姉さんの部屋へ運び、ベッドに横にさせた。ここは、かぐやとハクの寝室として使っている場所だからね。その後かぐやも呼んできて、1時間くらいずっとベッドの横に座ってハクを看病しているんだけど、容体は一向に良くならない。
ハクは青白い顔で、今にも消えてしまいそうなか細い息をしている。熱はないんだけど、すっごく辛そう。やっぱり疲れが溜まってたのかな。
あのハクの置き手紙から考えると、最悪な事態が頭をよぎる。それだけは、起こらないでほしいんだけど……。
「人間に変化することが、こんなに大変だとは知りませんでした……」
かぐやは今にも泣きそうになりながら、ギュッと拳を握りしめている。きっと、自分の責任だと感じているんだろう。
「でもさ、ハクは今までだって何度も人間とかの大きめな生き物に化けたことがあるんでしょ? その度にこうやってぶっ倒れてたの?」
尋ねると、かぐやは小さく首を振った。
「……いいえ。ハクが倒れるのは、今回が初めてです。第一、ハクは普段小動物にしか変化しません。大きなものに変化することは滅多にないし、いつも短時間です。長くなるのは、かぐやにお説教しているときくらい」
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